脱水の小さなサインと命を守る水分の選び方

皆さんこんにちは。
五月も過ぎて六月に入り、毎日じりじりとした太陽にあぶられながら、プランターに水やりをしている看護師吉澤智美です。

毎日暑いですねぇ。
少し外に出て植物に水やりをするだけでも、朝6時の時点でわきの下にうっすらと汗をかきます。

こうして汗を拭くたびに、外来看護師をしていた頃のことを思い出します。

真夏の炎天下で作業していた工事現場の方が、重度の脱水や熱中症で救急搬送されてくることがよくありました。

「どうしてもっと早く、脱水を起こしていることに気づかなかったのですか?」

そうお聞きすると、多くの方が、

「後で水分補給しようと思っていた」

「のどは渇いていたけれど、まだ大丈夫だと思った」

と話されていました。

脱水は、命を脅かす危険な状態です。

成人では体重の約60%、乳幼児では約80%が水分で占められています。そのうち約10%が失われると、命に関わる状態になります。

もちろん、体重60kgの成人男性が6ℓもの水分を失う場面は、災害や遭難、事故や病気など特殊な状況を除けばそう多くありません。

ちなみに、成人男性が安静に過ごしていても、1日に約2,500mlの水分を排泄しています。

脱水で大切なのは、小さなサインを見逃さないことです。

脱水の小さなサインと命を守る水分の選び方

そこで今回は、脱水の兆候と対策について、軽い症状から重篤な症状まで順を追ってお話ししていきますね。

1.ごく軽度の脱水(1~2%)はこんな感じです

① なんとなく「のどが渇いたなぁ……」と感じた時点で、すでに脱水は始まっています。

② 尿の回数や一回の排尿量が少し減り、尿の色が普段よりも少し濃くなります。

③ 唇や口の中が、なんとなく乾いている感じがします。

④ なんとなくぼんやりする、集中力が少し低下する、軽い倦怠感がありやる気が出なくなります。

この中で最も早く現れる脱水サインは、①の「なんとなくのどが渇いたなぁ」という感覚です。

この段階で必要な水分と適度な塩分(電解質)を補給することで、その先の脱水を防ぐことができます。

2.軽度の脱水チェック(初期サイン)

① 強いのどの渇き

② 尿の濃縮

③ 口の中や唇の乾燥

④ はっきり自覚できる倦怠感と集中力の低下

この段階で、糖分の多い飲み物やカフェイン飲料、アルコールなどを摂取すると、脱水がさらに進む可能性があります。

例えば、暑い中を歩いていて少しふらつきを感じ、涼を求めてコンビニに入ったとします。

すると目に入るのは、アイスコーヒーや冷えた紅茶、ウーロン茶、緑茶など。

暑い日にはつい手が伸びてしまいますよね。

また、疲れを感じていると栄養ドリンクやエナジードリンクを選びたくなる方もいるでしょう。

健康志向の方なら、トマトジュースなどの野菜ジュース、豆乳や牛乳、ココナッツウォーターを選ぶかもしれません。

ルイボスティーやハイビスカスティー、とうもろこしのひげ茶なども人気ですね。

ただし、こうした飲み物の中には利尿作用を持つものや、カリウムを多く含み水分とナトリウムの排泄を促すものがあります。

さらに、暑い夜にコンビニでお酒を買って飲む方もいるかもしれません。

しかしアルコールには、体内で水分を保持するための抗利尿ホルモンの働きを抑える作用があります。

そのため飲んだ以上の水分が尿として排泄され、脱水を悪化させることがあります。

脱水対策や日常の水分補給には、水や白湯がおすすめです。

脱水の小さなサインと命を守る水分の選び方

味気ないと感じる方は、梅干しや少量の刻み昆布を加えるのも良いですね。

3.中度の脱水チェック(体液の3~9%以上の減少)

この段階になると、血液量の減少によって全身の循環が悪くなり、皮膚や内臓にも症状が現れ始めます。

また、単なるのどの渇きではなく、「水を飲みたい」と強く求めるような渇望感が出てきます。

① 鎖骨付近や前腕内側の皮膚をつまみ、離した後2~3秒以上戻らない

② 手の甲の皮膚をつまみ、離した後2~3秒以上戻らない

③ 親指の爪を押して白くし、離した後3秒以上たってもピンク色に戻らない

④ 強い頭痛と強い倦怠感

⑤ 強いめまいやふらつき

⑥ 尿の回数が著しく減り、濃い茶色や琥珀色になる

⑦ 唇や口の中、舌が乾ききって粘り気が強くなる

⑧ 足がつる、吐き気や嘔吐が起こる

⑨ 脈拍が速くなる

⑩ わきの下が完全に乾いている

中度の脱水が疑われる場合は、すぐに涼しい場所へ移動し、エアコンを使用してください。

そのうえで経口補水液を少量ずつ、こまめに摂取します。

この時、ただの水や利尿作用のある飲み物は症状を悪化させる場合があります。

また、一気に飲ませると吐いてしまうこともあるため、ペットボトルのキャップ1杯程度を少しずつ飲むようにしましょう。

4.重度の脱水チェック(10%以上)

生命維持が極めて困難になる危険な状態です。

① うわごと、錯乱、意識消失

② 全身の筋肉のけいれんや硬直

③ 排尿が完全に止まる

④ 脈拍が非常に速く弱くなる

⑤ 呼吸が浅く速くなる

⑥ 汗が全く出なくなる

⑦ 目が落ちくぼみ、唇や舌が真っ白になる

この状態では脳・心臓・腎臓などの重要臓器が正常に機能できなくなっています。

自宅で様子を見てはいけません。

速やかに救急要請を行ってください。

5.放置した場合に起こり得ること

重症化した脱水を放置すると、

・急性腎不全から腎不全への進行

・脳梗塞や心筋梗塞の発症

・多臓器不全

・不可逆的な脳障害

など、命に関わる重大な結果につながる可能性があります。

重症化した脱水は、身体が自力で回復できる限界を超えています。

医療機関での迅速な治療が必要です。

6.特に注意が必要な方

① 乳幼児

体内の水分量が多いため、少しの下痢や嘔吐でも脱水を起こしやすくなります。

② 高齢者

・のどの渇きを感じにくい

・トイレを気にして水分摂取を控えてしまう

・体内の総水分量が少ない

といった理由から、気づかないうちに脱水が進行することがあります。

以上のように、「のどが渇いた」というサインは決して軽く考えてはいけません。

また、涼しい部屋にいて汗をかいていないように見えても、私たちの身体からは常に水分が失われています。

夏だけでなく冬も含め、一年を通してこまめな水分補給を心がけていきましょうね。

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