最期の時間を過ごさせていただいて ~「もう限界」という本音から始まる、在宅介護の真実~

いつもありがとうございます。
訪問看護ステーションまりあ管理者兼看護師の佐藤絢美です。

​「自宅で最期まで」

​その言葉は美しく響きますが、現実の在宅介護は、泥臭く、時に心が折れそうになる日々の連続です。

最期の時間を過ごさせていただいて

​先日、一年半にわたる在宅介護を終え、ご自宅で穏やかなお看取りをされたご家族がいらっしゃいました。

その歩みは、決して最初から理想的なものではありませんでした。

「半信半疑」から始まった在宅生活

​ご家族は当初、在宅医療に対して半信半疑でした。

「本当に家で最期まで診られるのか?」
「自分たちの生活はどうなってしまうのか?」

​そして何より、介護の疲れがピークに達したとき、何度もこう思われたそうです。

「もう病院か施設に入ってもらった方が、本人も自分たちも楽なんじゃないか」

​自分の体力を使い果たし、それでも先が見えない不安の中にいるとき、誰もが抱く感情です。

​整理されていなくていい、本音を言葉にする勇気

ある時、ご家族はその葛藤を隠さずに、私たちに伝えてくださいました。

「やっていただいているのに、こんなことを言ってすみません」

​そう申し訳なさそうに添えられましたが、私たちはその言葉をいただけたとき、心から「よかった」と思ったのです。

感謝の言葉よりも、その時々の「しんどい」「疲れた」「もう嫌だ」という生の声。

​まとまっていない、矛盾だらけの想いであっても、自分の口から外へ出し、表現すること。

それ自体に、張り詰めた心を緩め、おりを昇華させていく力があるからです。

​そして、その「正直な想い」を受け取って初めて、私たちはそのご家族にとっての本当に必要な看護計画を立てることができるのです。

​「介護の疲れで夜も眠れないなら、数日間のショートステイを利用して、まずはご家族もしっかり眠りましょう」

​「医療的な処置が不安で片時も目が離せないなら、連日の訪問看護を利用して、プロの目に頼りましょう」

「今の状態が限界なら、一度レスパイト(休息)入院を検討して、ご家族の心を守りましょう」

​無理に理想を追うのではなく、ご家族の「今」の限界点に合わせて、チームが動く。

それこそが在宅医療の真の役割です。

​チーム一丸となって見届けた、最後の景色


​ケアマネジャー、訪問診療、訪問看護。

チーム全員がご家族の「しんどさ」を共有し、支え続けた一年半。

特に状態が変化し不安が募る時期には、連日の訪問看護で医療的なバックアップを強化し、「一人ではない」という実感を積み重ねていきました。

​お看取りの朝、疲労困憊で「入院した方がいいのか」と自問自答されていたと話してくださいました。

旅立ちの瞬間、安らかなご本人の顔を見ておっしゃいました。

「やはり自宅でよかった」

​その言葉は、ご自身の中にある葛藤や迷い、本音をすべて出し切り、それでもチームを信じて頼ってくださったからこそ辿り着けた、境地だったのではないでしょうか。

​​今、自宅介護で悩んでいるみなさまへ


最期の時間を過ごさせていただいて

​もし今、「もう無理だ」「家で看るなんて言わなきゃよかった」と自分を責めているなら、どうかその声を私たちに届けてください。

​在宅医療は、家族だけで頑張るものではありません。

家族の代わりに介護をする場所でもありません。

家族が、家族として、最期の時間を少しでも穏やかに過ごせるように、レスパイト入院やショートステイ、そして連日の訪問といった「チーム」を頼りきる場所なのです。

​「まとまっていなくていい。正直な気持ちを伝えていい。」

​そこから、それぞれのご家族にしか作れない、最高の物語が始まります。

私たち訪問看護ステーションまりあは、あなたのその「本音」を、いつでも待っています。

わたしが​組織作りで最も大切にしているのは「安心安全な場」です。

それは働くスタッフはもちろん、利用者さまとそのご家族が、「どんな自分」も「疲れた本音」も、すべてを曝け出せる場所であること。

私たちはこれからも、そんな場であり続けます。

最期の時間を、共に過ごさせていただいて。

語り尽くせないほどのご苦労があったかと思いますが、そのすべてがご本人さまへの最高の贈り物でした。

私たちを信じ、大切なバトンを託してくださったご家族の皆様に、心からの感謝を込めて。

人生の大切な時間をご一緒させていただき、ありがとうございます。

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