理想の最期を叶えるための人生会議と訪問看護の役割
いつもありがとうございます。
訪問看護ステーションまりあ管理者兼看護師の佐藤絢美です。
わたしたちは日々、利用者さまのご自宅を訪問し、療養生活を支えさせていただいています。
その中で、「どこで、どう過ごすか」を大切にしています。
そしてこの想いこそが、わたしが訪問看護ステーションまりあを立ち上げた原点でもあります。
立ち上げの背景にある現実

これまでの病院勤務や訪問看護の経験の中で「本当は家に帰りたい」と願いながらも、それが叶わない現実を何度も見てきました。
また、最期の時間を支えるご家族が、不安や責任を一人で抱え込み、疲弊してしまう姿にも直面してきました。
「ご本人の願いも、ご家族の想いも、どちらも大切にできる場所をつくる」
その一心で、地元日立市に訪問看護ステーションまりあを立ち上げました。
緩和ケア会議に参加して感じたこと
先日、わたしたちは水戸赤十字病院の緩和ケア会議に参加してきました。
そこで改めて感じたのは、医療機関と在宅が手を取り合うことの重要性と、利用者さまの「希望」を形にするためのスピード感の大切さです。
今回は、茨城県の現状とまりあの想いを、お伝えしたいと思います。
茨城県の現実:数字が語る「希望とあきらめ」
まず、皆さんに知っていただきたい現実があります。
厚生労働省などのアンケート調査によれば、人生の最終段階において、43.8%もの方々が「自宅で最期を迎えたい」と願っています。病院を希望する41.6%を上回る数字です。
しかし、実際の現実はどうでしょうか。
日本全国で自宅で最期を迎えられる方は、わずか17.4%。
それに対し、医療機関で亡くなる方は64.5%です。
わたしたちが活動するこの茨城県においては、その乖離がさらに顕著です。
茨城県で病院で亡くなる方の割合は69.2%。
対して、自宅で最期を迎えられる方は16.2%に留まります。
「家に帰りたい」という願いが、どこかであきらめに変わってしまっている。
その現状の中でも、ご本人やご家族が大切にしたい想いを尊重しながら、それぞれが望むかたちを一緒に創っていけるのではないかと、わたしたちは考えています。
緩和ケアのリアル:なぜ「タイミング」がすべてなのか
緩和ケア外来通院や入院されている患者さんは、一見するとお元気に見える方も少なくありません。
しかし、病状はある日を境に急激に変化することがあります。
「もう少し体力が回復してから帰ろう」
そう思っているうちに、自宅退院が叶わなくなるケースは少なくありません。
だからこそ、「元気に見える今」こそが、最期をどこで過ごすかを考える大切なタイミングです。
人生のフィナーレを「痛みの時間」にしないために
人生の最期が、最も苦しい時間になってしまう。
その大きな要因の一つが、「ご本人の意思が十分に共有されていないこと」です。
意思が明確でないまま状態が悪化すると、医療現場では延命を目的とした処置が優先されることがあります。
しかしそれが、ご本人の望む最期と一致しているとは限りません。

だからこそ大切なのが、ACP(人生会議)です。
元気なときに、自分がどのように生き、どのような最期を迎えたいのかを言葉にしていくことがとても重要です。
日立市で連携している訪問診療の先生も、この考えをとても大切にされて、丁寧にその時間をつくられています。
在宅医療と訪問看護の役割
水戸赤十字病院の会議で話し合われたのは、「希望に沿った看取り」と「家族の負担軽減」の両立でした。
ここで、訪問看護の役割があります。
①入院と在宅を安全につなぐ
病院と連携し、安心して自宅へ戻れる体制を整えます。
②ご本人さまの希望を形にする
ACPを通して想いを丁寧に引き出し、医療チームで共有します。
③ご家族を支える存在であること
ここが、訪問看護ステーションまりあが特に大切にしている点です。
ご家族は、介護者である前に大切な人です。
不安や責任を一人で抱える必要はありません。
わたしたち訪問看護師が医療的ケアや日常生活のサポートを担うことで、ご家族には「そばにいる時間」を過ごしていただきたいと考えています。
手を握ること、声をかけること、想いを伝えること。
その時間こそが、かけがえのない最期の時間になると、わたしたちは体感しています。
自分が選ぶ人生のために
茨城県の現状は、決して変えられないものではありません。
必要なのは、知ることとつながることです。
「自宅で過ごしたい」という願いは、決して特別なものではありません。

その想いを支えるための仕組みは、すでに地域にあります。
訪問看護ステーションまりあは、ご本人さまの人生を大切にすることはもちろん、その人生を支えてきたご家族の想いにも寄り添い続けたいと考えています。
次のステップとしてまずは、「自分ならどうしたいか」を少しだけ考えてみてください。
そしてもし、「本当は家に帰りたい」そんな想いが心にある方がいらっしゃいましたら、どうか一度ご相談ください。
病院や訪問診療、地域包括支援センター、ケアマネジャー、訪問介護と連携しながら、今できる最善の選択を一緒に考えていきます。
あなたと、あなたの大切な人が、最期まで「自分らしく」生きられるように。
心を込めて感じていきます。

