金木犀の香りと訪問看護ステーションまりあの原点
いつもありがとうございます。
管理者兼看護師の佐藤絢美です。
街に金木犀の香りがふんわりと漂い始めると、訪問看護ステーションまりあの事務所を契約した日を思い出します。
契約したのは、今から3年前のちょうどこの季節。
創業メンバーの親戚が所有している物件で、「いい場所があるから」と紹介してもらったのがきっかけでした。彼女とは、子どもの習い事を通じて出会いました。あれからずっと一緒に働き続けてくれている、心強い仲間です。
10月は、私にとって特別な意味を持つ月です。
創業当初から応援し、背中を押してくれた大切な方の誕生日があります。

起業を決意した頃は、期待と不安の中で、何から始めればいいのかも分からず落ち着かない日々を過ごしていました
孤独を感じることも多く、自分ひとりでやらなければと肩に力が入っていた私に、
「今できることを少しずつやればいい」
「こんなこともできるよ」
と、目の前にあることに目を向ける大切さを教えてくれました。
そして同時に、ひとりじゃないことや、ひとりでできることは、ほんのわずかしかないということも、その方の在り方を通して教えてもらいました。
その存在があったからこそ、私は少しずつ人に頼ることができるようになり、チームを作っていくことができました。
本当にありがとう。
もう直接お祝いの言葉を伝えることはできないけれど、あなたの存在はこれからも私の中で生き続けています。
心の中でそっと「おめでとう。穏やかな日を過ごしてね」と伝えています。
そして、これからも迷ったときには、あなたを思い出しながら、前を向いて進んでいきます。

あの頃から、もう3年が経ちました。
「日立市に暮らす市民が安心して過ごせる街をつくる」
その想いを胸に、生まれ育った日立の地に訪問看護ステーションまりあを立ち上げました。
訪問看護は、どこでも始められるサービスです。それでもこの街を選んだのは、わたし自身がこの街に生まれ育ち、両親や親戚が暮らすこの場所だからこそ、意味のある挑戦だと思えたからです。
住み慣れた家で、自分らしく穏やかに暮らしたい
そんな想いを持つ方々に、訪問看護という形で寄り添うこと。
それが、まりあの原点です。
「利用者さまが安心して暮らせるように」
それはもちろんのことですが、それと同じくらい、
「ご家族も、まりあスタッフも、関わるすべての人が安心できる場所にしたい」と考えています。
在宅療養は、喜びや安心だけでなく、不安や孤独とも隣り合わせです。
家族の立場でも、医療者の立場でも、その重さや責任に押しつぶされそうになる日もあります。
だからこそ、
「まりあに連絡すれば大丈夫」
「この人が来てくれるなら安心」
と思ってもらえるような存在でありたいと、日々スタッフと力を合わせています。
とはいえ、私たちが届けられる支援には限りがあります。
訪問看護を必要としている方は、まだまだ多くいらっしゃいます。
情報が届いていない方も、制度の使い方がわからない方もいらっしゃいます。
必要な方に、必要な分のケアを届けるために、地域に根ざした活動を続けていくこと。
そして、医療や介護の枠を超えて、日立市のまち全体で支え合うしくみを育てていくことが大切だと、改めて実感しています。
これからも、りでも確実に、一歩ずつ前へ進んでいきたいと思います。
利用者さまの声に耳を傾けながら、スタッフの想いを大切にしながら、
誰にとっても安心して暮らせる街を、現実のものにしていけるように。
初心の気持ちを、忘れずに歩みます。

