久しぶりの屋外歩行
いつもありがとうございます。
管理者兼看護師の佐藤絢美です。
秋分の日も過ぎ、涼しさを感じるようになりました。日中の陽射しも少しずつ和らぎ、夏の終わりと秋の訪れを肌で感じます。
わたしたち訪問看護の現場でも、こうした季節の移ろいは日々のケアに影響を与えています。
今年の夏は特に厳しく、猛暑日が続き連日のように熱中症警戒アラートが発令されていました。
9月に入っても高温の日が多く、利用者さまの健康管理に一層注意を払う日々でした。
その影響で、訪問時に予定していた屋外歩行や外出による気分転換などのリハビリ活動は、しばらく中止せざるを得ませんでした。特にご高齢の利用者さまや持病を抱える方にとっては、少しの暑さも命に関わるリスクになるため、無理は禁物です。
けれど、屋外歩行はただ身体を動かすだけではなく、季節の風を感じたり、外の空気を吸ったりすることで、心の豊かさにも深く関わる大切な時間です。利用者さまの笑顔を引き出す貴重な機会でもあります。
そんな中、ようやく熱中症アラートの出ていない穏やかな日が訪れました。風も涼しく感じられたため、「今日は外を少し歩いてみましょうか」と声をかけてみました。利用者さまも「久しぶりに外に出たいわね」と。
ゆっくりと玄関を出ると、空にはうろこ雲が広がり、道端には彼岸花が咲いていました。少し歩いただけで、利用者さまのお顔に自然と笑顔が浮かび、「あぁ、やっぱり外の空気はいいわね。まだまだ歩けそう。」と。心が解放される瞬間に立ち会えました。
家の中ではどうしても視界も行動も限られてしまいますが、外に出ることで五感が刺激され、自然と会話も弾みます。
「この辺、昔は田んぼだったのよ」
「子どもたちが小さい頃は、あの坂を毎日登ってたわ」
そんな懐かしい思い出話も、歩きながら自然とあふれ出てきます。
10分ほどの短い散歩でしたが、利用者さまの表情が普段よりも生き生きとされていました。屋外歩行の効果を、言葉ではなくその方の姿を通じて実感した瞬間でした。
気候が穏やかになるこれからの季節は、再び屋外での活動がしやすくなります。とはいえ、急な気温変化や、朝晩の冷え込みなどにも注意が必要です。わたしたちは、常にその日の体調や天候を見ながら、無理のない範囲で安全に進めていくことが求められます。
そして何より、「その人らしい生活」を取り戻すために、何が今できるのかを一緒に考えて支えていくこと。それが訪問看護の醍醐味であり、やりがいでもあります。
利用者さまの「今日もいい1日だった」と思える時間を一つでも多く感じていけたらと思います。