利用者様との関わりで和らいだ体験
いつもありがとうございます。
看護師の松ケ崎です。
看護師になり数ヶ月後に祖母を、1年後に祖父を亡くした私としては「どうして元気なうちにやってあげられなかったのだろう。」「もっと一緒にいてあげたかった。」「買い物や病院にだって付き添ってあげればよかった」と後悔がとても大きく自分を責める事があります。
もちろんその思いは今もありますがその後悔が利用者様との関わりで和らいだ体験を今回は紹介したいと思います。
Aさんは私が入職して1、2ヶ月の時に依頼を受け週に3回訪問させて頂きました。緊張して表情も硬くなってる私を暖かい笑顔で迎えてくれました。Aさんはご主人と同居されておりお二人の会話のやり取りを聞いているのもとても和みました。
Aさんとは訪問の他にもキャンナスで病院や美容室、買い物や眼鏡作りにも一緒に行きました。
病院では車椅子を押し受診後に病院内のコンビニでおにぎりやお菓子、飲み物を買うのをとても楽しみにされており私も楽しい時間を共有させて頂きました。
訪問とキャンナスを繰り返すうちに後悔でいっぱいだった思いは軽くなりました。
祖母や祖父にしてあげられなかった事が出来たという想いの他にAさんが自分らしく過ごせて好きだった自宅で生活することを支える一部となれた自分を好きになれたからだと思います。
それから時が過ぎAさんの施設の入所が決まりました。私は入所前にお庭を一緒に外で眺めませんかとお声掛けしました。
最初Aさんは「お庭は見たいけど足がふらつくし玄関も高さがあるから怖いからいいよ」と話されていましたが「Aさんそのために私がいます。私が支えますから安全にゆっくり行きましょう」というとAさんも笑顔になり「じゃあ行こうか」とAさんと一緒に外に出て縁側に座り【ミツマタ】を眺めました。
植物の名前を覚えることが苦手な私にAさんが「ミツマタの枝は必ず3つに分かれるからミツマタと言うのよ」と笑って教えてくれました。
Aさんは「最後にあなたと庭が見れてよかったよ。ありがとう」と話されその日の訪問は終わりました。
これがAさんと私が会った最後の訪問になりました。
それから数ヶ月後Aさんが亡くなったと息子様から連絡がありました。突然の事で信じられずその日は移動中に沢山のAさんとの思い出が蘇り目頭が熱くなりました。
その後Aさん宅を訪問しました。
「あなたにはお世話になったからみてあげてください」とご主人が私に声をかけ居間に案内して頂きました。居間には沢山の綺麗なお花と入職したばかりで緊張していた私を迎えてくれたAさんの暖かい笑顔の写真がありました。
看護師としての技術と精神面で成長させてくれたAさん。本当にありがとうございました。と私は胸中で語りかけAさんに向かって手を合わせました。