訪問看護師として、1人の人間として誠実に向き合う
皆さまこんにちは。
管理者兼看護師の佐藤絢美です。
訪問看護師になって「人と人とのつながり」の大切さを実感する毎日を送っています。医療や看護のスキルだけでなく、相手の人生や価値観を尊重する姿勢が重要だと感じています。
訪問看護ステーションまりあ・キャンナス日立2周年を迎えて訪問看護師として、また1人の人間として誠実に利用者さまとご家族さまと向き合う中で得た気づきを綴りたいと思います。
相手の存在や思いを真摯に受け止める
わたしは誠実さとは何かとよく考えます。
私が考える誠実さとは、「相手の存在や思いを真摯に受け止めること」です。
それは単に利用者さまの言葉を聞くことだけではありません。その背景にある想いやこれまでの人生、そして未来の希望に心を寄せることです。
訪問看護の現場では、利用者さまお一人おひとりが異なる環境や課題を抱えています。同じ症状であっても、生活環境や家族関係によって必も要なケアは異なります。
そのため、表面的な問題にとどまらず、深い部分に目を向ける努力が欠かせません。
訪問看護師は、利用者さまのご自宅という最もプライベートな空間に足を踏み入れる仕事です。
そのため、病院看護とは異なる信頼関係が必要になります。利用者さまにとって私たちは単なる「看護師」ではなく、「生活の一部」として受け入れられる存在でなければなりません。
私が意識しているのは、利用者さまの「その人らしさ」を大切にすることです。
医療的な判断や処置をするだけではなく、利用者さまの声に耳を傾け、日常生活をサポートすることも重要な役割です。
たとえば、ある利用者さまが「デイサービスのお風呂ではなく自宅のお風呂に入りたい」と話されたとき、どうすれば実現できるかを一緒に考えます。
訪問看護の現場では、コミュニケーションの重要性を日々実感します。
ただ聞くだけではなく、何を言わんとしているのか?
言葉にできない思いを汲み取ろうとすることで利用者さまの心が開かれ、信頼関係が築かれます。
あるとき、ある利用者さまが治療に対して強い不安を抱えておられました。その方にとって、「治療を受ける」という行為は単なる医療行為以上の心理的負担を伴っていたのです。
その際、私はあえて焦らずに、時間をかけて話を伺いました。結果として、利用者さまが抱える不安の背景を理解し、適切な対応を考えることができました。
こうした経験から学んだのは、「言葉の奥にある感情を汲み取る力」の大切さです。
コミュニケーションとは、言葉だけでなく、相手の表情や仕草、沈黙の中にも多くの情報が隠されています。
それを敏感に感じ取り、誠実に向き合うことが私たちの使命だと思います。
そして誠実さを持って利用者さまに向き合うためには、まず自分自身と向き合うことも重要です。
訪問看護の現場では、時に厳しい状況に直面することがあります。
利用者さまの症状が悪化したり、家族関係が複雑であったりする中で、感情的に揺さぶられることも少なくありません。
なぜ訪問看護をやっているのか
そのようなとき、私は「なぜ訪問看護をやっているのか」を自分に問いかけます。
私が訪問看護を選んだ理由は、「人々の暮らしを支えたい」という思いからでした。その初心を思い出すことで、自分の気持ちを整理し、目の前の状況に誠実に向き合える力を取り戻すことができます。
また、心のバランスを保つために、自分自身のケアも大切にしています。
リラックスタイムを確保するために、お風呂には大好きなラベンダーの香りのバスエッセンスをたっぷり入れてゆったりお風呂に浸かります。
切り替えの時間を意図的に作ることは、利用者さまに対してもより良いケアを提供できると感じています。
誠実さを持って利用者さまに向き合うことで得られるのは、信頼関係の構築だけではありません。
それは利用者さまの「その人らしい人生」を支えることにもつながります。たとえば、ある利用者さまが「最後まで自分の家で過ごしたい」と望まれたとき、その思いを尊重しサポートすることで、利用者さまだけでなくご家族の安心や満足感にも繋がります。
また、誠実に向き合う姿勢は、自分自身の成長にもつながります。一人ひとりの利用者さまとの出会いから、多くのことを学び、看護師として、人間としての深みが増していくのを感じます。
訪問看護師として、1人の人間として、私はこれからも目の前にいる方と誠実に向き合い続けていきたいと思います。
それは決して簡単なことばかりではありませんが、そこにこそ訪問看護師としてのやりがいや生きがいがあると信じています。