おうちに帰るということ

こんにちは。看護師の高橋です。

今日は私が呼吸器内科病棟に勤めていた時のお話しをさせていただきたいと思います。

肺のお病気で入院されていた、高齢の男性患者さまのお話しです。入院当初は、状態も悪く苦しい日々でしたが、治療が進むにつれてお元気になられ、退院の目処が立ちました。

しかし、症状は良くなられたものの、お病気の影響で日常生活でも常に酸素吸入をしながらでないと呼吸が苦しくなってしまいました。

そのため、退院後も酸素吸入が欠かせません。

酸素が必要なこと以外、何でもご自身で身の回りのことができる方でした。奥様が他界された後も、近くに住むご家族のサポートのもと、ずっとお一人で暮らされていました。

お若い頃からタバコとお酒が大好きで、入院前は自由気ままな生活を満喫していたとお話しして下さいました。

私達スタッフはその方の退院後の生活について会議をしました。今まではお一人で暮らされていましたが、今後、酸素吸入を続けながらのお一人での生活は少し厳しい面があるかもしれない。ご家族とも相談をしましょうという事になりました。

そして別の日にご家族と面談の日を設け、現状をお話ししました。するとご家族は、

お父さんは昔からタバコが大好きで禁煙が出来なかったんです。酸素吸入を始めると生活に制限があると聞きました。特にタバコは厳禁だと。お父さんは守れないと思うんです。もし酸素を吸いながらタバコを吸って火事にでもなったらと思うと…。

だからと言って、私も小学生の子供がいて共働きで、とてもじゃないけど24時間お父さんを見張っていることなんて出来ません。機械のトラブルがあって見て欲しいと電話をもらってもすぐ駆けつけられないし。お父さんにはかわいそうだけど、施設に入所してもらう事も考えています。

との事でした。ご家族の心配もごもっともだと思います。

ご家族のお考えも含めて患者さまのご意向を伺うと、

施設には入らず、入院前と同じ気ままな生活を住み慣れた家で過ごしたい。

奥様やお子様と過ごした思い出のある家を手放したくない。

決まりは守るから、残された人生を好きに生きたい。

という事でした。

しかし、その後もご家族とご本人とお話し合いを重ねた結果、やはりお一人で生活するには心配な要素が多いため、退院後は施設に入所する。という事に決定しました。

その時の寂しそうな悲しそうな患者さまのお顔が私は今でも忘れられません。

昨今、病院では在院日数の短縮により、退院後の生活指導の時間が十分に取れないのが現状です。ましてや高齢の方は、新しい機械の操作方法や使い方を覚えていただくのにどうしても時間がかかります。それは仕方のない事だと思います。

それに加えて、核家族化が進み、共働きが当たり前の現代、何のサービスも受けずに、ご家族のサポートだけでお一人暮らしの高齢の方を支えて行くのは限界があると思います。

現在、そのような患者さまをお支えするサービスが訪問看護をはじめ、たくさんあります。今振り返ると、その患者さまも訪問看護やヘルパーさんの介入、デイサービス、お食事の宅配サービスなど医療、介護資源をフル活用すればお家で過ごされることも不可能ではなかったかな…と過去を振り返り反省しています。

利用者さま、ご家族がご自宅でともに幸福度の高い生活を送ることができるよう、看護が必要な方にサービスが行き届きますよう、日々精進していきたいと思います。

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